電験三種 2015年(平成27年) 理論 – 問02

問題

図のように、真空中で2枚の電極を平行に向かい合わせたコンデンサを考える。
各電極の面積をA[m^2]、電極の間隔をl[m]とし、端効果を無視すると、
静電容量は(ア)[F]である。このコンデンサに直流電圧元を接続し、
電荷Q[C]を充電してから電圧源を外した。
この時、電極間の電界E=(イ)[V/m]によって静電エネルギーW=(ウ)[J]が
蓄えられている。この状態で電極間隔を増大させると静電エネルギーも増大することから、
2つの電極間には静電力の(エ)が働くことが分かる。
ただし、真空の誘電率を\epsilon_0[F/m]とする

1. (ア)\epsilon_0 \frac{A}{l} (イ)\frac{Ql}{\epsilon_0 A} (ウ)\frac{Q^2l}{\epsilon_0 A} (エ)引力
2. (ア)\epsilon_0 \frac{A}{l} (イ)\frac{Q}{\epsilon_0 A} (ウ)\frac{Q^2l}{2\epsilon_0 A} (エ)引力
3. (ア)\frac{A}{\epsilon_0 l} (イ)\frac{Ql}{\epsilon_0 A} (ウ)\frac{Q^2l}{2\epsilon_0 A} (エ)斥力
4. (ア)\frac{A}{\epsilon_0 l} (イ)\frac{Q}{\epsilon_0 A} (ウ)\frac{Q^2l}{\epsilon_0 A} (エ)斥力
5. (ア)\epsilon_0 \frac{A}{l} (イ)\frac{Q}{\epsilon_0 A} (ウ)\frac{Q^2l}{2\epsilon_0 A} (エ)斥力

解説と答え

問01のポイントと同じ考え方が使える。
(ア)の静電容量は、誘電率と電極板の面積に比例し、電極間の距離に反比例するので、C = \epsilon \frac{A}{l} が正しい。
(イ)の電界は、E = \frac{V}{l} 及び Q = CV から、 E = \frac{\frac{lQ}{\epsilon_0 A}}{l} = \frac{Q}{\epsilon_0 A} となる。
(ウ)の静電エネルギーは、公式W = \frac{1}{2}CV^2Q = CVを合わせると、W = \frac{Q^2}{2C} が導き出されるので、
(ア)の式に当てはめることで、 W = \frac{Q^2}{2}\cdot\frac{l}{\epsilon_0 A} = \frac{Q^2l}{2\epsilon_0 A} となる。
コンデンサでは、+側と-側の電荷が引き付け合う力によって静電エネルギーが蓄えられていると考えられるので、
(エ)には「引力」が適切である。「斥力」が働くのは、同種の電荷が近くにあるとき。
また、(ウ)の式でlが大きくなることを考えると静電エネルギーWも大きくなることが分かる。

ポイント

問01のポイントに加えて、
静電エネルギーW[J]、単位体積あたりの静電エネルギーW[J][J/m^3]、と静電力F[N]との関係の理解が重要になる。
極板間の静電エネルギーを極板間の体積[m^3]で割ると単位体積あたりの静電エネルギーが計算できる。
また、1J=1N・mなので、\frac{J}{m^3} = \frac{N}{m^2} となる。

本問で「電極間隔を増大させると」とあるが、この時エネルギーの増加分は、
外部から与えられた仕事によるエネルギーであることに注意する。

この時に与える必要のある仕事量は、増大させた電極間隔(Δl)に極板間の静電力F[N]を乗じたものである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です